午後3時20分頃、荻窪の駅に到着。前回行った春木屋の前の横断歩道で青梅街道を渡り、やや阿佐ヶ谷方向へ歩いてから左折し、住宅街の道を北上します。この辺りの住所は天沼になります。この時間帯ですからとてもひっそりしています。しかも今にも雨が降ってきそうな天候。肌寒いです。約200mくらい歩くと、目的の春木家本店の建物が見えました。薄いピンク色の新しいビルで、モダンな感じです。近年建て替えたのでしょうね。
店に入るとお客さんは誰もいませんでした。しかし女将さんが元気良く「いらっしゃいませーっ!」と迎えてくれました。とても気持ちがいいです。六十代くらいでしょうか。肌の色つやも良く、お綺麗な方です。
私はメニューをじっと眺めました。なるほど、噂には聞いていたものの、ここが本来は日本そばの店であることが一目瞭然でした。というのは、中華そばや塩ラーメンなどももちろんメニューに載っていて、しかもメニューの先頭場所で目立つのですが、粗挽き十割蕎麦とか、せいろ、天ちら、天ざるなどの日本そばのメニューが大半を占めております。丼ものもあります。とてもたくさんの種類があって、最初から中華そばを注文するつもりだったのに、そばを食べてみたくなりました。
予定通り中華そばを注文します。前回の春木屋の中華そばは800円で、ちょっと高いと思ったのですが、こちらは680円。庶民的な価格設定です。大盛りになると880円となりますので、大盛り料金に関しては春木屋と同じです。しかし、塩ラーメンが900円。五目中華そば1,300円、チャーシューメンが1,100円とやや高級な価格です。五目冷やし中華はなんと1,580円。逆にこの価格だと食べてみたくなります。一方、せいろが600円、天ざるが1,250円と、そばのお値段のほうが一般的です。
さて、中華そばが運ばれてきました。「外は寒かったでしょう。これであったまりますよ。」と女将さん。なにかとっても嬉しいです。さっそくスープをすすってみました。非常にあっさりです。上品な鶏がらスープの典型でしょうか。見た目も透き通った黄金色です。あっさり度は春木屋よりもこちらが上だと思います。そしてなんと言ってもアツアツ。女将さんの言う通り、外が寒かったので余計にアツアツに感じます。何年か前に冬の喜多方でラーメンを食べた時にやはり同じ経験をしました。外が猛烈に寒かったので、熱いスープにとても感激したのです。やはりスープは熱くなければダメですね。
具材や麺は春木屋と殆ど同じでした。ただ、チャーシューはこちらのほうが硬かったかもしれません。硬いと言っても嫌な感じではなく、味わいも良く私としては逆に「なるほど」と唸ってしまいました。麺の硬さについては女将さんが事前に聞いてくれます。私は普通でと言いましたので、まさに普通でした。でもこの普通さがいいのです。とにかくとても美味しく食べました。スープはここ1年くらいダイエットの為になるべく残そうと頑張っていますが、残念ながら殆ど飲み干してしまいました。それほど私にはマッチングの良い味でした。
ご主人は最後まで厨房の中だったので御尊顔を拝することが出来きませんでした。ただ、大きな声で見送って頂き、感無量です。もちろん女将さんにも丁重に送って頂きました。家族的なこの雰囲気。また是非伺いたいと思います。ご馳走様でした。
取材日:2012.11.30