茂野「麺紀行」 第35回 秦野市 白笹うどん「多奈加」

神奈川県の秦野には有名なうどん店(白笹うどん)「多奈加」がある。秦野駅から白笹稲荷へ向かい徒歩15分くらいの静かな住宅街の中だ。分かり難い場所で道案内の看板も質素なので見落としがちだが、平日でも同店へ向かう人たちが多いので、その流れに従って歩けば自然に着いてしまう。

ひと昔前の民家を改造し、外観もまた店内も田舎風で素朴な雰囲気。趣のある佇まいだ。私が食べたのは「ゐなか(ざる)うどん」(600円)。右がその写真。漂白していないのか、真っ白ではないのが嬉しい。うどんが出来るまでセルフのおでんを食べる。おでんはどれも120円。下(右)の写真は大降りの大根。上品な味で美味しい。

うどんはかなりコシがある。いや、コシというよりも硬い。半端じゃなく硬い。かといって、芯があるわけではない。よくこねられている。こんなにコシの強いうどんは初めてかもしれない。つゆはあっさり。あまり特徴があるようには思わなかった。しかし、硬い麺とのバランスでベストマッチなのであろう。

特筆すべきは同店のハイコストパーフォーマンス。このページの下のほうにメニューの一覧(一部のみ)を掲載したのでご参照願いたい。とにかく安いのだ。メニューを見たときにまず驚いたのは1000円以上のものが無いことだ。つまり高級店を標榜しているのではなく、あくまでも大衆料金であることが嬉しい。雰囲気がいいのに加えて店員さんの明るさ、応対も気持ちがいい。是非一度は行っておきたい店である。

店内に入ったのは昼の2時近かった。営業は11時から3時までなので、今後行かれる方は要注意。昼頃は多少並ぶのを覚悟したほうがよい。秦野駅からは少々離れているので、バスを使うのがお薦め(路線はお調べください)。また、駐車場もあるのでマイカーで行ってもよいと思う。

うどんを食べてから白笹稲荷にお参りに。初午の参拝客が参道を埋め尽くしていた。露天も並び、華やか。やや西に歩くと関東大震災で生まれたその名もズバリ、震生湖(しんせいこ)への入り口の交差点があるので、坂道をゆっくり登る。この界隈は渋沢丘陵と呼ばれているところだ。10分も歩くと、目の前に秦野市街を挟んで丹沢山塊が望める。

秦野へは小田急線の急行で新宿から約1時間10分くらい。急行といっても普通運賃(650円)。特急だと別料金が600円追加になるが、時間は10分くらいしか短縮にならない。(と思った。)

取材日:2009/2/7

初午(はつうま)で賑わう白笹稲荷。関東の三大稲荷と言われている。
参道いっぱいに並ぶ露店。これはたこ焼き屋さんだ。
震生湖の入口交差点。ここを左折し、緩やかな坂道を登ると震生湖。向こうに見える山々は塔ノ岳などの表丹沢尾根。
震生湖へ登る途中(渋沢丘陵)から見る大山。三角錐の秀麗な山容だ。
震生湖はここから下に約5分歩いて降りてゆく。
2月でも柔らかな日差しを受けて暖かい震生湖。ひっそりと静かである。

白笹うどん 「多奈加」 (たなか)
神奈川県秦野市今泉1039-6
電話 :0463-83-7253