梅雨《つゆ》は、梅の実が熟す時期の長雨のことですが、物にカビが生えやすい時期のため「黴雨」とも書きます。
でも、このカビは悪モノばかりとは限りません。
麺の《つゆ》づくりに欠かせないのが「醤油」です。
そして今日の醤油のモトとなった調味料「溜」が出現したのは鎌倉時代。
建長六年(一ニ五四年)信州の禅僧・覚心が中国の径山から径山寺味噌の製法を持ち帰り、紀州・湯浅の村人に製法を教えているうちに桶底に溜まった液汁で食べ物を煮ると美味しいことを発見。
これが今日の醤油の始まりになったというわけです。
そしてその醤油は、大豆と小麦粉を原料に醤油麹をつくり、これに食塩と水を加えた麹カビの酵素作用と酵母・細菌とを繁殖させて熟成させたもの。
つまり、日本特有の薫りと旨みのある「醤油」は、日本の気候風土が育てた調味料とも言えるわけです。