愛知県で「愛・地球博」が開催され、連日、大変なにぎわいをみせています。
そこで今月は、おそばにとっては親戚筋にあたる、名古屋名物の「きしめん」についてのお話です。
「きしめん」という名称の由来は、雉子(きじ)の肉をいれた「雉子めん」や、紀州から伝わった「紀州めん」がなまったものともいわれ定説はないようです。
名古屋出身の作家・清水義範はユーモアを交えた小説「蕎麦ときしめん」の中で、こんな自説を展開します。
そばを〔人〕、汁を〔社会〕と考えるなら東京を象徴する「ざるそば」は、そばと汁が離れていて、人と社会も必要最小限の範囲でかかわりを持つ。
これに対し、名古屋を象徴する「きしめん」は、
最初から汁の中につかっていて、個人というものが、社会の中に埋没している。
麺が平べったいのは、より多くの社会という汁に
ひたれるからだ、と。
そばときしめん。それぞれ異なる食文化ですが、どちらも地球博で人気のメニューになることは間違いないでしょう。