おそばのはなし 睦月 おそばのはなし 睦月 初春の華やぎの中にも凛とした空気が漂う年の始めは寒の月でもあり最も冷え込む季節です。根に帰る 花やよしのの そば畠《吉野山の麓(ふもと)のそば畑にそばの花が咲いている。あれは吉野の桜が梢(こずえ)を離れて根に帰ったものなのだろうか》1780年代の俳人・画人であった与謝蕪村は、吉野の畑に咲く白いそばの花は桜花の転生であり、全てのものは、その根源に還る運命にあると詠みました。そばは、実を食糧とするために栽培しますが、そば殻は、ほどよい刺激と放熱作用から枕材に。茎葉や根は、土壌を改良して保水力を高める肥料や家畜の飼料になり、また排泄物は堆肥として畑にまかれた後土に戻ります。 「しげの」の麺は、ご家庭で手軽においしく味わえる乾めんです。味にも、コシの強さにも、昔ながらの職人の技が活きている麺を熟成乾燥させます。熟成麺ならではのシコシコした歯ごたえと、のどごしの良さで大変喜ばれています。生々(しょうじょう)流転(るてん)、輪廻(りんね)転生(てんしょう)の眼でそばのライフサイクルを想像すると、植物を育み大地を耕す営みが人の世に重なります。今年も、また新たな決意を胸に、健康で平穏な日々を過ごしたいものですね。 2004年1月