おそばのはなし 神無月 おそばのはなし 神無月 天高く澄み渡る空の下 ――大地は豊穣(ほうじょう)の季節を迎え、いよいよ、蕎麦も収穫期です。 約三百年前、痩せた畑で粗放に作られるそばの茎は赤いため「そばの赤ですね」と称して貧しさの形容詞となりました。現在、手入れの行き届いた畑で栽培される蕎麦の茎はわずかに紅をさしたほどの薄い緑色ですが、晩秋から初頭に収穫する秋蕎麦の茎は赤くなります。これは、気温の低下により茎にアントシアニン色素が増えるためで、花が赤くなるのと同じ理由です。 落(おつ)る日の くぐりて染(そむ)むる 蕎麦の茎 蕪村―――茜色の夕日が蕎麦の茎の間へ潜るように射し込みまるで、蕎麦の茎を赤く染めているようだ――― 刈りあとや ものにまぎれぬ 蕎麦の茎 芭蕉―――刈り取られた蕎麦の茎が夕もやの静寂に包まれながら凛と地表に残って赤く息づいている――― 風雅人の芭蕉と蕪村の心を奪った蕎麦の茎が感動的な情景として鮮やかに詠(うた)われています。 「しげの」の麺は、ご家庭で手軽に美味しくご賞味いただけるよう熟成乾燥させた乾麺です。昔ながらの職人技を活かした深い味わいやコシの強さ、シコシコとした歯応え、喉越しのよさ、保存しやすさなどが好評で、世代を超えた多くのお客様から大きな支持をいただいております。爽やかな秋の空気が食欲を増進させる季節となりました。そろそろ、暖かい食べ物が恋しくなるシーズン。ご家庭で熱々の麺類はいかがでしょうか。 茂野製麺株式会社広告 朝日新聞千葉版 2004年10月 掲載